【細川顕の JIU JITSU VOICE Vol.6】吉永力選手 インタビュー「ヨーロピアンノーギに挑む」

インタビュー

吉永力、ヨーロピアンノーギへ挑む

― ノーギに懸ける覚悟と積み上げた努力 ―

10/29~11/2イタリア・ローマの地で再び世界で戦いの舞台に立つ吉永力選手。 ノーギワールドを見据えた彼が、今回の「ヨーロピアンノーギ」をどのような意志と準備で迎えるのか。 大会直前に行われたインタビューから、その真摯な姿勢と確かな手応えが伝わってきた。

コンディションと準備 ―「今が一番良い状態」

「コンディションはとても良いです。」 開口一番、吉永選手はそう語った。昨年は怪我や体調不良が続き、思うように力を発揮できない時期があったという。 しかし、今年上半期は充実したトレーニング期間を過ごせており、心身ともに万全の状態で大会を迎えられるようだ。 同時期に開催されたパンパシフィック選手権を見送り、あえてヨーロピアンノーギを選択した理由について尋ねると、 「今は道着よりもノーギに力を入れているので、ノーギワールド以外で大きな大会に出場したかった」と明快に答えた。 その言葉からは、現在のキャリアで何を優先すべきかを見極めた、明確なビジョンが感じられる。

特別なトレーニングと身体作り

この3ヶ月、吉永選手はスパーリングの回数を増やし、1日に2部連、3部連とハードな練習を重ねてきた。 疲労の蓄積を防ぐため、週6回のペースで初動負荷トレーニングにも通い、怪我防止とパフォーマンス維持に努めている。 「特定の技術を重点的に練習しているわけではないですが、常日頃から“技術の穴をなくす”意識で練習しています。」 彼の言葉には、派手さよりも基礎の積み上げを大切にする職人気質がにじむ。

食事と減量管理 「炭水化物をしっかり摂る」

今回の大会では減量は行っておらず、特別な食事制限もしていないという。 「炭水化物を摂ると調子が良い気がするので、しっかり摂るようにしています。特別気にしている点はありません。参考にならずすみません(笑)」 シンプルながら、自分の身体の反応を理解し、最適なコンディションを作るための感覚的なバランスが確立されている印象だ。

一本を狙う戦略 「大会が変わってもやることは同じ」

戦略について尋ねると、「常に一本を狙うこと。それはどの大会でも変わらない」と即答。 ヨーロピアンノーギだからといって戦い方を変えるつもりはないという。 攻めの姿勢を貫き、自らのスタイルを信じるその姿勢は、吉永選手らしさの象徴だ。 警戒している選手として挙げたのは、Shay Ananda Montague選手とWanki Chae選手。 いずれも国際大会で実績を持つ強豪であり、厳しい戦いが予想されるが、それでも彼の眼差しには迷いがない。ブランケットが発表され一回戦がその警戒しているという韓国の強豪 Wanki Cheaとの一戦となった。

優勝への覚悟とその先に見据える舞台 「どのような意味があるかはあまり考えていませんが、大きい大会なので優勝して実績として残したいです。」 言葉は控えめながら、その裏にある決意は確固たるものだ。 今回のヨーロピアンノーギを通過点とし、12月にはワールドノーギへの出場を予定している。 「目標はもちろん優勝です。」 その短い一言に、積み重ねてきた努力と勝利への渇望が凝縮されている。

ファン・チームへの感謝 「皆と一緒に強くなっている」

最後に、日々支えてくれる仲間や応援してくれるファンへのメッセージを尋ねると、 「いつも応援してくださる皆様、練習に付き合ってくださる皆様、ありがとうございます。 サポートしてくださる皆様のおかげで毎日強くなれています。良い結果を出して皆様に喜んでもらえるようにベストを尽くします。」 と感謝の言葉を述べた。 一人で強くなる選手ではなく、「支え合うチームの中で強くなっていく」姿が、吉永力というアスリートの本質だ。

「一本を狙う」という信念の先に ヨーロピアンノーギという新たな舞台に向け、吉永力選手は確かな準備と明確な意志をもって挑む。 どんな強豪が立ちはだかろうとも、彼が狙うのはただ一つ「一本」の勝利。 その信念が、ヨーロッパのマットで再び輝く瞬間を、誰もが待ち望んでいる。

Interview by Akira Hosokawa / 細川顕(JIU JITSU VOICE)

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